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花無心招蟲 蟲無心尋花

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花は蟲を招くに心無く 蟲は花を尋ぬるに心無し

僕がいつから虫が好きだったのか?考えてみると清水で暮らしていた幼年期には超がつくほどの虫好き少年だったことを思い出す。まだ田んぼの残っていた渋川、めちゃくちゃ汚かった巴川、家の裏の街路樹は蹴っ飛ばすとゴキブリかカミキリが必ず落ちてきた。幼稚園の頃には日本平に登ってカブトムシを探したりと、まだファミコンもなく遊びといえば虫捕りか化石堀りか釣りしかすることがなかったのだ。子どもの頃はとにかくカッコいい虫が好きだった。カブトムシ、クワガタ、オニヤンマ、ギンヤンマ、ゴマダラカミキリ、ミヤマカラスアゲハと自分の手の届く範囲のカッコいい虫をとにかくたくさん捕まえていた。大人になってからは捕まえることがなくなるかと思いきや息子も虫が好きで今でも息子と二人で何か虫いないかな、と出歩くことが多い。ただ清水に住んでいた子供時代とは違い大阪に拠点を構えた今は子どもの頃に好きだったカッコいい虫はめったに見ない。ほとんどが小さなハムシやショウリョウバッタ、シジミチョウと小さくてカッコいい虫ばかりじゃない。それでも虫を見つけると楽しい。捕まえたら息子と観察してみる日々。なぜこうなったのか、なぜこの虫とあの虫は似てるのか。細かな造形や絶妙な配色に心を奪われることがある。羽の色や仕組み、眼にも着目してみると多くの「カッコいい」を発見することができる。不可思議で複雑なディティールや生態にカッコいいを見出してそのデザインに引き込まれシャッターをきっている。ファインダーを覗きなかなかピントが合わないFoveonマクロ。それでもFoveonセンサーのすべてがうまくあわさった瞬間の繊細ですべてを写しとったような写真を見て造形の持つ魅力を写せるように、そして繊細さゆえ失敗の多さに嘆きながら前に失敗した虫はたしかここにもいたな、今まで見たことない虫いないかなと思いながら小さな世界、その辺に転がっている世界を日々さまよっている。